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2017年12月2日土曜日

怖い絵展 行ってみた!

怖い絵展 行ってみた!
上野の森美術館なんて行ったことあるのか!?
その上野の森美術館で12月17日までおこなわれている怖い絵展に行ってみたので報告いたします。


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怖い絵展

一番のメインはジェーングレイの処刑ですよね。この絵画、私が小学校の頃自宅でとっていた新聞の日曜版に掲載されていたのを見て、衝撃を受けて以来、心に残っていた作品でした。

まるでこれから結婚でもするかのような純白のドレスを着た美しく若い女性が目隠しをされ、断頭台の上にその美しく長い首をのせようとしている。

傍らではその不幸に嘆き悲しむ侍従の女たち。左側にはその執行人が、切れ味の悪そうな斧を抱えながら、複雑な心境の面持ちで準備ができるのを待っている。

彼女を支えるよいに牧師が彼女を断頭台へと導く…。

そしてその美しき女性はこれから起こるであろう惨劇を知ってか知らずかロジックをこなすかのように断頭台をさがしている。

なんと絶望的な情景なのか…。

まだギロチンが発明されていない当時、首は斧で切り落とされたのであろう。斧は首を切り落とすためにあるわけではない…。当然切断しきれず、何度も何度も彼女の首を叩きのめしたに違いない。その度に鮮血が飛び散り彼女の体は痙攣に震え彼女が着ている純白のドレスは真っ赤に染まっていく。そして侍女達の悲鳴がこだまする。

そんな凄惨な情景が子供ながらに想像できた。しかし、その死の一瞬前の情景がとても美しく、そしてなぜかやたらエロティックにみえたのだ。

作者はなんてひどくそして魅惑的な絵を描くんだ!称賛と失望が入り交じる感覚を覚えた。

歳を重ねて振り替えると、この絵には救いも描かれているというとも感じてきた。

ウエディングドレスのような純白の衣装と神父と乗せても転げ落ちそうな断頭台そして彼女の左手薬指に輝くリング。まるで結婚式の誓いのシーンのようじゃないか!?そう、ジェーングレイは神と結婚するのだ。絶望的な悲劇のなか、彼女はそんな気持ちを胸に断頭台へと首を乗せたのではなかろうか?そんな思い。期待というのかそうあってほしいという希望が僕を占めていった。

そんなジェーングレイの処刑の本物を日本で見ることができると知ったときは思わず声をあげてしまった!

12月1日、休みを利用して向かう。
一旦新宿に寄り、金券ショップでチケットがないか探す。二ヶ所のショップにあった。
一ヶ所は1580円、


もう一ヶ所は1550円。当然安い方で購入する。


当日券は1600円


時間は午後四時ちょいすぎ頃上野駅についた。


上野駅から上野の森美術館はすぐだ。


好評により観覧時間延長になって午後八時まで延長。
充分楽しめる時間帯だね。


上野駅から上野の森美術館まで金券ショップはない。


美術館に向かってみると…。


どひゃーーっ
並んでるーーーっ


四十分待ち!?

なんてこったい!
まぁ、ブログ用記事でもかきながら気長に待つか…。


とのんびりまつこと30分入場できました!


ぼくは音声ガイダンスつけなかったんだけどつけたら更にもう10分待つとのことでした。

音声ガイダンスは500円。

会場内は写真撮影禁止ですからね。状況は撮影できませんでしたが外が混んでいるということは当然中も混んでいるということで…。

絵画の前は足の踏み場もないほど…。

順番を設けてないと言うことで本来ならどこから割り入ってみても良いのだがこの絵画展の場合はむしろ絵の背景ストーリーも重要なため、説明文を読むため並ぶことにした。すこしずつ動く経路。時に留まってしまうこともある。逆に言えばゆっくり解説を読むのにはとても適している。

監修?解説は中野京子
ドイツ文学者です。

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説明もとてもわかりやすく簡単にかかれてます。
意味が解らないとつぶやいていた人もいましたが
歴史や背景をある程度知っている人ならむしろ楽しんで読めると思います。
もしかしたらある程度の予習が必要かも知れませんね。

さて絵画自体は六部構成になっている。

第一章は神話と聖書
   まさに神話と聖書を題材に恐怖を読み解いていきます。
   ギリシャ神話と聖書の予習しておくといいかもしれません。

   注目作品:オデュッセウスに杯を差し出すキルケ
   作者:  ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
   理由:  とにかく男性から観るとエロでしかないw
        男は女が脱げば落ちることを知っているキルケが
        女という武器を充分に使い男を豚に変えていく
        そんな男を手玉に取る悪女が充分伝わってくるエロさです。


第二章は怪物・悪魔・地獄
   ダンテの神曲やサロメなどの悪魔そのものまたは悪魔とされるものなどが
   登場します。新約聖書などに関する知識が多少あるとよりいいかもしれません。

   注目作品:彼女
   作者:  ギュスターヴ=アンドルフ・モッサ
   理由:  おっぱい!


   注目作品:踊り手の褒美
   作者:  オブリー・ピアズリー
   理由:  有名な絵。挿絵好きなら一度は目にしたことがあるだろう作品。
        悪女サロメが悪女らしい一面を見せる最高のシーン
        一つ足のテーブルに首が置かれていると思いがちですが
        これはお盆にのせられているだけで下の支えは腕なのだそう...
        首切り場は地下の薄暗い場所にあって首切り執行人が
        地下から首を差し出している情景だそうです。
        確かに黒いのが毛むくじゃらの腕だよね。
        こりゃ怖い...。


第三章は異界と幻視
   恐怖に関する項目。心の不安、恐怖からくる芸術という分野かな?
   面白い視点。ココはむしろあまり知識を得ずに感覚を味わったほうがいいかも。

   注目作品:(1)眼は奇妙な気球のように無限に向かう
   作者:  オディロン・ルドン
   理由:  私が個人的に傑作と思っているアニメ惡の華
        そのエンディングに出てくる華はこの絵だね。
        怖いというか不気味。


第四章は現実
   貧困や自殺などに焦点をあてた項目。現実的な生々しさがある。
   できれば16世紀~19世紀くらいのヨーロッパの歴史を知っているといい。

   注目作品:切裂きジャックの寝室
   作者:  ウォルター・リチャード・シッカート
   理由:  単なる寝室を描いた作品。でもそこが凶悪連続殺人犯が
        寝ていたと想像するとなんとも恐ろしい作品に変わる。
        実はシッカート自身が切裂きジャックだったのではないか?
        と噂されているほどだそうでそういう意味で更に興味は
        尽きない...。
        座間の殺人事件が話題になっているこの頃
        とても生々しく感じる。


第五章は崇高の風景
   風景画のなかから恐怖を見出そうとした項目。
   ココもなかなか面白い試み。むしろココは説明文をよく読むべし!

   注目作品:ペルシャザールの餐宴
   作者:  ジョン・マーティン
   理由:  とにかく巨大な王宮!
        その向こうにありえないほどでかいバベルの塔
        強大な力とそれよりも強い神という印象を
        与える作品。


   注目作品:ソドムの天使
   作者:  ギュスターヴ・モロー
   理由:  巨大な二体の天使がソドムの街を破壊しに
        天空から降りてくる姿。
        これさ...間違いなくエヴァンゲリオンの
        使徒だよね。庵野秀明さんこの絵見てるんじゃないかな?
        まぁエヴァンゲリオンという作品自体
        このソドムとゴモラをネタにしている気がする。


   注目作品:ドルバダーン城
   作者:  ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
   理由:  ウェールズの古城の王が権力闘争に敗れ囚われるシーン
        囚われている王の姿はとても小さく下のほうに描かれている。
        対して高くそびえる古城がとても印象的だ。
        偉大なのは権力なのであって小さき人間ではないという印象を
        見るものに与える。


第六章は歴史
   これこそがこの絵画展のメイン。歴史上の流れを
   絵画に入れ込んでいる項目。
   やはり歴史を知っているといいですよね。
   先ほど同様17世紀くらいから19世紀
   暗いまでの歴史を知っているといいです。

   注目作品:レディ・ジェーン・グレイの処刑
   作者:  ポール・ドラロッシュ
   理由:  もうこれに尽きる!
        縦3m 横3.5mほどの大きなキャンバス。
        見る人を圧倒する迫力とその美しさと
        その絵の数分後に起こるである惨劇を
        想像した上で何故か感じる危険なエロス。
        これに尽きます。


ジェーンについてなぜ彼女が断頭台にあがったかというと当時のヨーロッパの宗教対立がある。ジェーンはプロテスタント系に対してジェーンを葬り去ったのがカトリック系のメアリ。プロテスタント系ははじめカトリック系のメアリ一派を葬り去ろうとしていたがメアリを取り逃がしてしまう。その後カトリック系が勢力を取り戻し、メアリがジェーンを捕えることになる。
はじめメアリはジェーン処刑を戸惑ったが、ヨーロッパの名門ハプスブルグ家のフェリペ皇太子との婚約破棄をちらつかされメアリは已む無くジェーンを1554年2月、断頭台に上げることになる。
ハプスブルグ家は神聖ローマ帝国皇帝の一族。ローマ教皇とは強力なパイプがあり、当然カトリックだ。
その後メアリはプロテスタントの粛清に奔り、血のメアリと呼ばれる。現在カクテルにあるブラッディマリーは血のメアリのこと。

1554年といえば日本では今川、武田、北条の三国同盟が成立した年。

パンフレット


収録画






総評:やっぱりジェーングレイの処刑
それだけ見に行くといっただけも元が取れる!
すばらしい作品でした。中野京子氏の解説もなかなか魅力的。
必見の価値ありです!!

しかし絵画が近い。これら借り物だろ?いいのか?こんなに近くて…。

作品それぞれに手が届いてしまうばかりかガラスすらされていない作品もおおいので触れてしまいそう…。

えっ!?本当にいいの?これで…?

しかも何故かわからんのだけど女性の多くが作品の間近まて手を伸ばし、指差して友達とその絵のどうでもよい世間話をしてる。ちょっとよろめいたらぶつかってしまいそう…。
思わず止めなさい!と言いそうになったほど…。

絵画展に来てこんなにヒヤヒヤしたのははじめて…。

順路は決めてないとはいえ横入りされたとイラついている人もいる…。

これ、運営的にどうなの???
入場制限かけた方がいいんじゃね?

メイン絵画のジェーングレイの処刑にもしも誰かがぶつかりでもしたら…どのくらい賠償しなければならなくなるか…。
それに貴重な絵画はお金の問題ではなくなる。場合によっては国民感情的な問題にも発展することもある。
ひやひやだよ。

そういう意味でも「怖い絵展」なのかも知れません...。

さて所要時間は三時間でした。


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さぁもうまもなく終了です。


早めに行きましょうね。

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